休業損害と休業補償について

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交通事故にあって働くことが困難になった場合、休んでいる期間は働いていないので収入が途絶えてしまいます。その休業期間を補償しれくれるのが、休業損害と休業補償という2つの制度です。今回はこの2つの制度について解説します。

休業損害とは

休業損害とは、自賠責保険によって適用されるものです。交通事故で負った負傷で労働ができなくなった場合、自賠責保険の保険会社に請求すれば、休業によって減少した分の収入金額を受け取れます。

自賠責保険は、交通事故が起きた場合に被害者を最低限補償できるように、強制的な加入が義務付けられている保険です。

そのため、車を運転して交通事故で負傷を負ったために休業する際、必ず受けられる制度であり、請求しないと自腹で生活費を出さなくてはいけないので、損をしてしまいます。

そして、休んでいる間の生活費、治療費、通院の際の交通費、障害慰謝料すべて、自賠責保険から支払われるわけではありません。自賠責保険の保険金には限度額があるので、休業損害で生じた金額が、自賠責保険の保険金の限度額を上回った場合、足りない分は被害者が加入している任意保険でまかなうか、加害者に請求します。

ただし、任意保険に加入していない、加害者側が何も保険に加入しなくてそれほどお金を持っていない人であったら、損害を自腹でまかなう可能性もあるのです。

休業補償とは

休業補償とは、自動車に関する保険ではなく、労災保険によって適用されているものです。休業損害と同じような理由で労働が不可能になり休業せざるをえない場合、休んでいる間の収入を補償してくれます。

労災保険とは、仕事で負傷や死亡などのトラブルが発生した場合、その損害を労働者および家族・遺族に必要な保険給付を行うための保険です。

会社の事業主のほとんどが労災保険に加入しており、労働者を抱えている事業主は必ず労災保険に加入しなければいけません。事業主が保険に加入すれば、事業主およびその下で働いているすべての従業員が保険の対象者になるのです。

休業損害でもらえる金額

休業損害を自賠責保険の保険会社に請求した場合、もらえる金額は1日6,100円が一般的です。この金額以上を1日で稼いでいることを証明できた場合、最大にして1日1万9,000円までもらえます。

基本的に休業している間の期間はこの金額がもらえますが、自賠責保険の限度額は傷害、後遺障害、死亡によってそれぞれ限度額が決められていて、傷害の場合は最大120万円です。

そのため、休業中に休業損害の保険金が合計120万円を超えてしまった場合、自賠責保険の支給は終了してしまい、あとは任意保険などに頼らなくてはいけません。
そして、会社の有給休暇を休業のために消化した場合、これは休業損害の対象にはなりません。

有給消化は労働基準法によって定められたものであり、交通事故は止むを得ない休業なので、有給を消化した分だけ休業損害の支給金額とは別に給料がもらえる仕組みです。

休業補償でもらえる金額

労災保険の休業補償でもらえる金額は、休んだ日1日につき休んだ人の給付基礎日額60%に相当する金額です。つまり1日の日給が1万円の人だと、その60%である6,000円が支給されることになります。

そして、労災保険から休業補償とは別にもらえるのが、休業特別支給金です。これは休業4日目以降に、給付基礎日額の20%相当の金額が、1日に支給される制度です。休業補償は休業そのものの補償するものですが、休業特別支給金は療養生活のための援護金という意味合いがあります。

まとめ

休業損害、休業補償は、交通事故で負った損傷が原因で、働きたくても働けない人を守るための心強い保険です。万が一のことを考えて、これらの保険のことをしっかりと頭に入れておく必要があります。

また、この2つの保険は似ているようで違うので、両者の違いを覚えておきましょう。

 

以上