死亡事故の被害に遭ったらすべきこと

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交通事故によって家族が死亡してしまった場合には、何をしなければならないのでしょうか。

 

まず、交通事故とは何の前触れもなく突然起こしてしまったり、巻き込まれてしまったりしてしまうものです。
そして、自分の「身近な人の死」というものは到底受け入れることが容易な事柄ではありません。

 

交通事故による死亡事故によって、被害者の遺族は葬儀など様々な手続に追われることになり、仕事を休んだり、日常生活を中断したりしければならなくなることでしょう。

 

そのような大変な中でも、交通事故の被害者の遺族は加害者との話し合いをしなければいけません。

 

加害者との対面や話合いの場を設けることは、肉体的にも精神的にも大きなストレスと苦痛を感じることになるでしょう。

 

加害者との和解交渉

では、加害者との和解交渉にあたって、2つのパターンについてご説明します。

 

(1)加害者が任意保険に加入している場合

まず、加害者が任意保険に加入している場合、交通事故の死亡事故の際には、一般的には加害者の保険会社の担当者から被害者遺族に対して和解交渉のために接触してくるでしょう。

 

これは、加害者の保険会社が被害者の遺族に支払う損害賠償の金額を決定するための示談交渉です。
死亡事故の損害賠償金の金額の中でも、特に慰謝料については各保険会社によって、金額の基準が異なります。

 

この話し合いに際して、被害者の遺族の方に知っておいていただきたい重要な点があります。
交通事故の慰謝料の基準には、保険会社が独自に設定している基準以外にも異なる2つの基準が存在しているということです。

 

2つの基準とは、具体的には、「自賠責保険基準」と「弁護士基準」です。

 

まず、自賠責保険基準とは、自賠責保険における慰謝料の算定基準です。

 

自賠責保険とは、被害者を救済することを目的に自動車を運転する人に加入が義務付けられているものです。
交通事故による障害や後遺障害、死亡に対する損害賠償額の算定基準が定められています。

 

自賠責保険基準は被害者救済を目的にした最低限の補償を定めている基準です。
したがって、任意保険会社が会社ごとに定めている任意保険基準よりも低い額に設定されています。

 

続いて「弁護士基準(裁判基準)」について説明します。
弁護士基準とは、過去の交通事故事件について裁判所が裁判で認定した損害賠償金額を参考に算出した基準のことをいいます。

 

弁護士基準は、自賠責保険基準と任意保険基準と比較したときに、慰謝料の相場が最も高い基準になります。

 

弁護士基準は、紛争になった交通事故事件について当事者双方が自己の主張にとって有利な証拠を提出しあい、主張・立証が尽くされたところで裁判所が判断した慰謝料金額になります。
したがって、最も厳格に被害者の損害を評価して認められた賠償額であると言えます。

 

以上説明してきたように、任意保険会社が参考にしている任意保険基準は弁護士基準よりは低い金額の基準になりますので、保険会社の担当者が提示してくる示談金を、客観的に相当な慰謝料額であると容易に信用しないように注意しましょう。


(2)加害者が任意保険に加入していない場合

交通事故の加害者が任意保険に加入していなかった場合、手続きはどのように進むのでしょうか。

 

現在、自動車を運転する人の10%が任意保険に加入していないとうデータがあります。
対物賠償の自動車保険に加入している人が74.4%で、自動車共済に加入している人が13.8%いると言われています。

 

つまり、合計88.2%が任意保険加入者であると言うことができ、車両保有者の90%近くが任意保険に加入していると言うことができます。翻って考えると、10%ほどの人は任意保険の未加入者であり、無保険車ということになります。

 

そして、任意保険に加入していないのであれば、自賠責保険が適用されますので、慰謝料の基準についても自賠責保険基準によって算出されることになるのが一般的です。

 

しかし、先ほども説明しましたが、自賠責保険基準は一般に慰謝料金額が低く、そのうえ上限額も規定されています。
具体的には、自賠責保険の被害者に補償される保険金の上限が120万円と決定されています。

 

すなわち、慰謝料を含む治療費や休業損害や逸失利益など、その他のすべての損害賠償額が120万円を超える範囲については、自賠責保険では補償してもらえないということになります。

 

したがって、被害者の遺族は加害者の資力如何によっては、十分な補償を受けられない可能性があります。

 

したがって、自賠責保険では補償しきれない損害部分については加害者個人に請求しても、加害者の資力が損害を補償できるほど十分だというのはまれなケースであることが予想されます。

 

加害者の状況がこのような場合には、一度弁護士に相談してみましょう。

被害者参加制度

交通事故の被害者が死亡してしまった場合には、加害者について刑事手続きに進むことが多いです。

死亡事故になった場合には、まずその場で逮捕される可能性もあります。

 

交通事故の進展状況により、その後身体拘束を解かれるのか、不起訴になるのかというのはケースバイケースです。

 

ただし、死亡事故の場合には結果が重大ですので、起訴される場合も珍しくないということは心に留めておきましょう。

 

そして、起訴された場合には危険運転致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪、業務上過失致死傷罪のいずれかが該当することになるでしょう。

そして、これらの罪における裁判手続には「被害者参加制度」という制度が設けられています。


被害者参加制度とは、刑事裁判に被害者の遺族が「被害者参加人」として参加することができる制度のことを言います。

 

被害者参加人として参加できる対象者とされているのは、被害者の「配偶者」、「直系親族」、「兄弟姉妹」です。
直系親族とは被害者の親や子どもらのことをさします。

 

被害者参加制度を利用して刑事裁判に遺族が参加するには、加害者が起訴されたあと、検察官に対して参加の申出をします。
そして、裁判所からの許可を得ることで裁判手続きに参加人として参加することができます。

 

参加人として加害者の刑事裁判に参加できる遺族にはどのような権利があるのでしょうか。

まず、裁判が開廷される公判期日に出席することができます。
遺族は傍聴席ではなく法廷の中に入り、検察官の横に座り裁判に参加することができます。

 

そして、参加人は検察官に対して意見を述べることができます。
検察官が被害者参加人の意見に従わない場合には、検察官は被害者参加人に対して従わない理由を説明しなければならないと法律で決められています。
検察官は遺族の意見に拘束されるわけではありませんが、それには合理的な根拠が必要だというわけです。

 

さらに、参加人は証人に対して尋問することができます。
ただし、尋問可能な事項は情状に関する事項に限定されています。
犯罪事実に関する事項を質問することはできません。

 

参加人は加害者に対しても質問することができます。

 

参加人は、裁判所に対して事実関係や法律の適用について意見陳述ができます。
論告や求刑についても意見陳述することができます。

 

まとめ

今回は死亡事故の被害に遭ったらすべきことを解説しました。

次回は、死亡事故の被害を弁護士に依頼する場合の費用相場などをご紹介予定です。