慰謝料増額のためのポイントと増額の成功事例

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交通事故の慰謝料は、各算出基準の相場をもとに金額を計算した上で、加害者に請求するのが通常です。しかし、交通事故に関するさまざまな事情により、請求できる慰謝料を増額することもできます。もし、そのような事情があれば、被害者は加害者に対して積極的に慰謝料の増額を主張していきましょう。

 

そこで、交通事故の慰謝料増額を実現するためのポイントについて、3つほど紹介していきます。

 

慰謝料増額のためのポイント3つ

交通事故の責任の所在を明確にする

慰謝料増額のポイントとしてまずあげられるのが、交通事故の責任の所在を明確にすることです。

交通事故の慰謝料は、事故当時者の責任の所在によって、その金額も増減するのが通常です。たとえば、交通事故発生の責任の割合が「加害者側6割、被害者側4割」だったとしましょう。上記の場合、被害者が本来請求できる金額から4割ほど差し引かれてしまいます。逆に交通事故発生の責任の割合が「加害者側10割」である場合、被害者は本来の慰謝料の金額を加害者に請求することが可能です。

 

交通事故に遭って、加害者側と示談交渉する際、不当に被害者側の過失の割合を多くされてしまうケースも存在します。本来の過失割合は、「加害者側9割、被害者側1割」であるにもかからず、「加害者側7割、被害者側3割」にされるといった具合です。

もし、上記の条件を基準に算出された慰謝料の金額で安易に示談交渉に応じてしまうと、被害者側が本来もらえる慰謝料よりも2割少なくなってしまいます。しかし、交通事故の責任の所在を明確にしておけば、事故の正確な過失割合に基づく慰謝料を請求することができます。加害者側から、本来の過失割合と異なる基準で算出された慰謝料の提示を受けた場合でも、その金額の増額を主張することができるのです。

 

後遺症が残ったら後遺障害等級の認定を受ける

交通事故による怪我で後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受けると、慰謝料の増額を実現できます。後遺障害等級とは、残った後遺障害の症状や程度に応じて分類したもののことです。交通事故による怪我の後遺症の症状や程度が、後遺障害等級の定めに該当すると認定を受けられます。


交通事故で怪我をさせられた場合、病院に入通院して治療する際に精神的な苦痛が生じるため、加害者に入通院慰謝料を請求できます。さらに、交通事故の怪我で残った後遺症が後遺障害等級に該当してその認定を受けられた場合、被害者は加害者に後遺障害慰謝料を請求できるようになります。

それにより、請求できる慰謝料の種類が増えるため増額が可能となるのです。

 

弁護士を活用して慰謝料請求の手続きを行なう

弁護士を活用して手続きをすると、請求できる慰謝料の増額を実現できるケースが多くなります。なぜなら、弁護士が代理人となって手続きをする場合、弁護士基準で算出した慰謝料額を提示した上で示談交渉を行なうからです。

 

弁護士を活用しなくても、被害者自身が弁護士基準で算出した慰謝料額を提示して示談交渉をすれば増額できるのではという意見もあるでしょう。しかし、被害者自身で示談交渉を行なう際、弁護士基準による慰謝料額を主張しても、加害者側の保険会社はそれを受け入れてくれません。むしろ、加害者側の有利となるように、慰謝料の金額を大幅に低くしてくる可能性もあります。

 

一方、弁護士を活用して手続きを行なえば、弁護士基準による金額の主張が認められ、請求できる慰謝料を増額できる場合も多くなるのです。

 

 

慰謝料増額に成功した事例3つ

交通事故の慰謝料を請求する際、適切な権利を主張することで慰謝料の増額を実現できるケースも少なくありません。そこで、実際に慰謝料増額を成功した事例につき、3つほど紹介していきます。

 

入通院慰謝料の増額に成功した事例

被害者が自動車を運転中、加害者の自動車に追突されてむちうちになりました。むちうちの治療をするため7カ月の通院を要したため、その分の慰謝料を加害者側に請求することになりました。それほど大きな被害ではなかったことから、当初は被害者自身で加害者側に慰謝料請求を行なっていました。

しかし、加害者側の保険会社から提示された約70万円の慰謝料が適正なものなのか疑問に感じて、弁護士に相談後、手続きを依頼したのです。手続きの依頼を受けた弁護士が調査したところ、加害者側の保険会社が提示してきた慰謝料の金額は、任意保険基準により算出されたものだとわかりました。

その後、弁護士が弁護士基準で算出した慰謝料を請求したところ、約20万円の増額に成功し、約90万円の慰謝料を勝ち取ることができました。

 

後遺障害慰謝料や遺失利益を主張し増額に成功した事例

被害者が原付バイクで走行中、加害者の自動車と衝突して、右手の関節に大きな損傷を負ってしまいました。治療には、手術による3日間の入院および1年以上にわたる通院を余儀なくされました。また、負傷した右手の関節に後遺症が残り、12級の後遺障害等級の認定も受けました。

当初加害者側の保険会社から提示された慰謝料は、入通院慰謝料のみの金額で被害者側に不利な内容のものでした。そのため、手続きの依頼を受けた弁護士は、後遺障害慰謝料と遺失利益の分も慰謝料の金額に含めてもらうため、加害者側の保険会社と示談交渉を行なったのです。

示談交渉の結果、加害者側の保険会社に後遺障害慰謝料と遺失利益についても認めさせ、320万円から800万円の増額に成功しました。

 

当初の慰謝料の額から2倍の増額に成功した事例

被害者が自転車で横断中、加害者の不注意による運転ではねられ、左股関節の脱臼骨折の重傷を負ってしまいました。負傷による交通事故の治療のため、長期の通院を余儀なくされました。また、負傷部分にも後遺障害が残り、10級の後遺障害等級の認定がされています。

示談交渉の際、加害者側の保険会社は、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、遺失利益による慰謝料として合計600万円提示してきました。しかし、上記の額は、弁護士基準で算出した慰謝料額と比較して、2分の1程度の額でしかありませんでした。

そこで、弁護士に手続きを依頼して、加害者側の保険会社と示談交渉してもらい、最初の提示額の2倍にあたる1200万円の慰謝料を勝ち取ることができました。

 

まとめ

交通事故で請求できる慰謝料の算出基準は複数ありますが、その中でも弁護士基準で計算すると、実損害に見合った金額を算出できます。したがって、請求する慰謝料の金額を計算する場合、弁護士基準を適用するべきです。それから、慰謝料の種類によっても相場や計算方法が異なる点も把握しておきましょう。

 

また、交通事故の状況によって、請求できる慰謝料の種類が多くなるケースもあります。このような場合、被害者側が加害者側に請求できる慰謝料の金額も多くなるため、慰謝料の増額を積極的に主張していきたいところです。

 

請求できる慰謝料の種類や金額について、正確に理解できないという交通事故の被害者もいるかもしれません。しかし、そのような人でも弁護士などの専門家を活用することで、問題なく慰謝料の請求することができるでしょう。

 

 

以上