交通事故における示談金と慰謝料の違いとは?

f:id:jazz_jiko:20200822105703j:plain

損害賠償金を減額させてしまうのが過失割合です。では、自動車、自転車の運転手が不利な立場に立たせられると言われる交通事故において、歩行者に過失割合が認められることはあるのでしょうか?

 

過失割合とは

過失割合とは、交通事故当事者の過失(落ち度、責任)の程度を数値化したものです。最大10の数値を加害者と被害者で振り分けられます。たとえば、加害者である自動車の運転手が「9」、被害者である歩行者が「1」などと振り分けられるのです。

過失割合は加害者に対する損害賠償金を算定するための基礎となり、被害者の過失割合が大きければ大きいほど加害者に請求できる損害賠償金は減ります(これを過失相殺といいます)。たとえば、被害者に発生した損害額が900万円だったとしても、上記の過失割合の例だと、被害者が加害者に対して請求できる損害賠償金は810万円となります(810万円=900万円-(900万円×0.1(被害者の過失割合分))。他方で、加害者である自動車の運転手が「7」、被害者である歩行者が「3」だっとしましょう。この場合、損害額は同じ900万円だったとしても、被害者が加害者に対して請求できる金額は630万円となります(630万円=900万円-(900万円×0.3(被害者の過失割合分))。

 

歩行者と過失割合

歩行者の過失割合は小さいのが基本

交通事故の場所、交通事故の状況などにもよりますが、歩行者の過失割合は小さいのが基本です。相手が自動車の運転手である場合はもちろん、自転車の運転手である場合でも同様です。これは自動車、自転車が人に危害を及ぼすおそれが高い乗り物で、歩行者以上に交通ルールを守らなければならないからです。

歩行者に過失割合が認められる場合

もっとも、歩行者であるからといって全く過失が認められないか(過失割合が「0」)といえばそうではありません。むしろ、何らかの過失が認められてしまう場合も少なくありません。また、歩行者も自動車、自転車と同様、一定の交通ルールに従う必要があり、そのルールに従わずに交通事故に遭った場合はより大きな過失割合が認められてしまう可能性があります。以下では、歩行者に過失割合が認められる可能性のある主な事故事例をご紹介します。

夜間、降雨時に歩行中の交通事故

夜間は昼間に比べて、自動車・自転車の運転手から歩行者が見えにくい状況です。したがって、自動車・自転車の運転手がより注意して運転しなければならないことはもちろんですが、歩行者もそのことを認識しつつ、注意しながら歩かなければなりません。したがって、歩行者には「0.5」程度の過失割合が認められてしまます。

信号無視して道路を横断した場合の交通事故

道路交通法では、自動車、自転車のみならず歩行者も信号表示に従わなければならないとされています。したがって、歩行者が信号表示を無視して道路を横断した場合は、歩行者により大きな過失割合が認められてしまいます。すなわち、歩行者の信号表示が「赤」の場合に、歩行者が敢えて横断歩道の横断を始めて交通事故が起きた場合の過失割合は歩行者が「7」、自動車が「3」となります。他方で、歩行者が「赤」で横断歩道の横断を開始したものの、自動車も「赤」で交差点に進入してきた場合は歩行者が「2」、自動車が「8」となります。

 

まとめ

交通事故の場所、状況などによっては、歩行者といえども一定の過失割合が認められ、損害賠償金が大きく減額されてしまう可能性もあります。上記でご紹介した例は氷山の一角で、どの程度の過失割合が認められるかは、交通事故の場所、状況などを詳細に検討してみなければ分かりません。保険会社から提示された過失割合に納得がいかない方は交通事故の専門家に相談してみましょう。

以上