追突で被害者に過失割合が認められる場合とは?

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交通事故の中で追突は最も起きやすい事故です。そこで、万が一、追突された場合に備えて被害者の過失割合を知っておくことは有益かと考えます。今回は、追突で被害者に過失割合が認められる場合について解説してまいります。

 

追突と被害者の過失割合

追突における被害者の過失割合は、基本は「0」と考えてよいですが、被害者に法令違反等の過失(落ち度)が認められる場合は一定程度の過失割合が認められてしまいます。

追突した側(加害者)が「10」、追突された側(被害者)が「0」が基本

追突の典型事例は、被害者が信号待ち等で停止していたところ、加害者がその後方から被害車両に衝突した、という場合ではないでしょうか?この場合、加害者には前方をよく確認しながら運転する注意義務があるのにこれを怠った過失が認められます。他方で、被害者には後方を確認すべき注意義務を課すことはできませんから過失(落ち度)を認めることができません。したがって、上記の場合、加害者の過失割合は「10」、被害者の過失割合は「0」とされるのが基本です。

追突で被害者に過失割合が認められる場合

もっとも、上記は追突の基本的ケースで、以下のとおり、状況によっては追突でも被害者に過失割合が認められてしまう場合があります。

被害者が駐停車禁止場所に駐停車していた場合

被害者が駐停車禁止場所に駐停車していた場合は被害者に「1~2」の過失割合が認められてしまう可能性があります。

道路交通法44条では車両が駐停車してはいけない場所等について細かく規定されています。

 

※駐車:車両等が客待ち等のため継続的に停止すること。又は、車両等が停止し、  

当該車両等の運転手がその車両等を離れて、直ちに運転することができない状態であること。

※停車:駐車以外の停止。

 

被害者が駐停車方法を守っていなかった場合

被害者が駐停車方法を守っていなかった場合も、被害者に「1~2」の過失割合が認められてしまう可能性があります。

道路交通法47条1項では「停車」方法について、「人を乗降させるとき、貨物を積卸しするときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない」と規定されています。また、同条2項では「駐車」方法について、「道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならにようにしなければならない」と規定されています。

被害者が灯火義務を怠っていた場合

被害者が灯火義務を怠っていた場合も、被害者に「1~2」の過失割合が認められてしまう可能性があります。

道路交通法52条1項では、「車両等は、夜間、道路にあるときは、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と規定されています。なお、夜間とは日没時から日出時までの時間をいいますから、季節によって灯火する時間帯が異なることに注意が必要です。

被害者が不必要な急ブレーキをかけた場合

被害者が不必要な急ブレーキをかけた場合は、「3」前後の過失割合が認められてしまう可能性があります。

道路交通法24条では「車両等の運転手は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」と規定されています。仮に、加害者から急ブレーキによる過失を主張された場合は、「危険を防止するためやむを得なかった事情」を証明する必要があります。

 

まとめ

被害者が完全に停止しているからといって過失割合が「0」かといえば、必ずしもそうではない場合があることはお分かりいただけたかと思います。車を停止させる際も交通ルールを守ることが何より基本となります。

                                    
                                     以上