事例から解説 自転車保険って結局必要なの?

最近、ここ何年かで、自転車保険の加入を義務付ける条例を定める都道府県が増え始めました。

 

その背景には、自転車事故による高額の民事上の損害賠償責任が起こる事故が多発したことがあります。

 

時代の変化とともに、『自転車運転には保険を掛けるもの』と言う新しい常識が出来始めていますね。

 

そこで今回は、自転車事故の事例をいくつかご紹介したいと思います。

 

皆さんも自転車事故の事例を読んだ上で、個人賠償責任保険や、自転車保険への加入を検討してみてください。

 

【自転車事故事例1】

……賠償責任金額:9,521万円

……神戸地方裁判所 平成25年7月判決

 

小学5年生11歳の男の子が夜に自転車で走行していたところ、歩道との区別がない道路で歩いていた62歳の女性と正面衝突。女性は頭の骨を折るなどの重体となり、そのまま意識が戻らない状態に。 

 

この判決が裁判所から出た時には、自転車事故でも高額な賠償額が発生しうる事例として報じられるとともに、子供が起こした事故に対し、両親に賠償命令が出たこととして大きな話題となりました。

 

このような事故を発端に、「自転車事故を起こしたのが子供だとしても、親に民事上の責任がある」という認識が広く知られることとなりました。

 

 

【自転車事故事例2】

……賠償責任金額:1,706万円

……さいたま地方裁判所 平成2311月判決 

 

ある女性が自転車で歩道を通行しているときに、脇道の路地から歩いて出てきた35歳の女性と曲がり角で衝突。歩行者の女性は腕を折るなどの怪我をした。

 

この判例から分かるように、何も自転車事故で高額の損害賠償が命令されるのは被害者を死亡・意識不明の状態にさせた時だけではありません

 

一見、不注意で歩行者を骨折させてしまっただけのように見えますが、現実の問題として損害賠償として1,000万円を超える高額な賠償責任が生じています。

 

「まさか。自分はそんなに危険な運転なんかしない」といくら注意していても、この事例のように急に横道から出て来るなど、簡単に想像できないことが起こるのが交通事故です。

 

「ケガはただの骨折だけ」と思うかもしれませんが、裁判所はそういった事情を簡単には汲んではくれません

 

特に今の日本の裁判所は自転車の事故に対して厳しい判決を出す傾向にあります。

このリスクの大きさは、胸にきちんと留めてめておきましょう。

 

高額の賠償責任に備えて 

高額 賠償責任

さて、2つの事例を紹介してきました。いずれも、高額の賠償責任が生じてしまい、加害者側はその高額な賠償金を支払わなければいけません。

 

その額は、簡単に用意できるようなものではありませんね。

 

こういった高額の賠償責任に備えるため、自転車保険・個人賠償責任保険に入った上で自転車を運転するよう、条例で義務付ける動きになっています。

 

ファイナンシャルプランナーの私としても、今や自転車事故のリスクは大きなものだと時代の潮流から感じています。

 

ましてや、自転車を通勤や通学に利用している人は、毎日乗り慣れた道をスピードを出して走るわけですから、そのリスクはさらに大きいものとなっています。

 

日常的に自転車を使う人は、保険に入った上で利用するよう、リスク管理の観点からもおすすめします。

 

ちなみに、自転車保険や損害賠償責任保険は損害保険会社の各社が取り扱っています。保険料や最高補償金額も異なりますので、最寄りの代理店等に尋ねてみましょう。意外にも月々の保険料は350円程度からと、手ごろな価格で取り扱っていますよ。 

 

まとめ

今回は、自転車事故の事例とそのリスクに備える方法についてご紹介しました。

 

自転車事故の高額な賠償が発生しやすいと言われている世の中、この記事をお読みになった方やご家族の方はきちんと自転車の保険に加入しているでしょうか。

 

月々の保険料も特段高くはありませんので、通学や通勤に使われている場合は、ぜひ加入した上で自転車を利用してほしいと思います。