職業柄、色々な方と保険についてお話しさせていただく機会があるのですが、先日お会いした方が、「車を買ったんだけど自動車保険って入らなきゃいけないんですかね」という相談してくれました。
自動車を所有している人なら、「当たり前でしょ」と思うかもしれません。しかし、実はこの疑問は非常に大事なんです。
保険は、「あるリスクに備える」という目的で利用するものです。
例)火事になったら家を建て直すお金がないというリスクに備え火災保険に入る。
では、自動車保険は一体なぜ加入するのでしょうか。どんなリスクに備えるための保険なのでしょうか。
そういった当たり前の基礎知識を習得することから、適切な保険加入というものは実現します。
そこで、今回はこれから自動車を購入する方へ向けて、自動車保険の補償制度の大枠を解説していきたいと思います。
既に自動車を所有している方、自動車保険に詳しい方には簡単すぎる内容になってしまいますが、基本的な『自動車保険の重要性』を知らない方には是非読んで欲しい内容です。
自動車保険はなぜ必要か
さて、皆さんは「自動車保険はなぜ必要か?」を考えたことがあるでしょうか。
多くの人は自動車の購入と同時になんとなく保険会社の自動車保険に加入していると思います。しかし、それらは何のために高い保険料を払って加入しているのでしょうか。
答えはもちろん、「交通事故を起こした時のリスクに備えるため」が正解です。
自動車保険の補償制度は、ほとんどの保険会社で次の3つに分けられています。
- 自分自身・搭乗者の補償
- 相手方への補償
- 自身の車両補償
これから自動車保険の加入を検討される方は、この3つの視点から補償が充分かどうかを材料に保険を選んでいくことになります。
あえて言えば、「そのくらいのリスクなら保険を掛けなくていい」 という分野がある場合は、必ずしも補償を全てに厚くしなくても良いのです。
それでは、上記の3つの分野を解説していきましょう。
1.自分自身・搭乗者の補償
この分野は、交通事故を起こした時の、自分・搭乗者(一緒に自動車に乗っている人)の身体や生命の補償のことを指します。
例)ハンドル操作を誤って電柱に衝突し、助手席の友人が骨折をしてしまった
この補償は、交通事故を起こした時に自分だけでなく一緒に同乗している人のケガや生命を補償するので、非常に重要です。
交通事故を起こすとケガでは済まず、最悪の場合だと命を失ってしまうこともあります。
そういったリスクをほとんどの人は大きく捉え、この補償が充実した自動車保険を選んでいるのです。
2.相手方への補償
この分野は、いわゆる「対人賠償・対物賠償」といった賠償金額を補償する分野です。
例)わき見運転をしている時に歩行者にぶつかり、相手が全治3か月の入院となった
任意の自動車保険をあまり重要視していない人でも、この部分にだけは補償を充分に掛けていることがほとんどです。
対人賠償・対物賠償とは、交通事故を起こして相手方をケガさせてしまったり、相手の自動車を傷付けてしまった時に発生する責任のことです。
例で挙げたように交通事故で相手方を傷付けてしまうと、場合によってはとんでもない金額の賠償をしなければなりません。
ましてや命を奪ってしまった場合、判例では1億円以上の賠償金を請求されるなんてことも……。
そう考えると、どれだけ保険を重要視していない人でも、この部分だけはしっかりと補償を掛けておくことが重要です。
3.自身の車両補償
これは、自分の自動車が傷付いた時に備える補償です。
例)スーパーの駐車場に駐車しようとしたら、看板にぶつかってバンパーが破損した。
自分ひとりの事故で自身の自動車を破損した場合でも、破損した個所は修理する必要がありますね。
自動車のパーツや修理代は高額になるケースも多く、不測の事態に備えて保険に入る人が多い現状です。
しかし、譲渡された中古の自動車を利用している人で、乗りつぶしてしまっても良いと思っている人の場合はどうでしょう。
確実に廃車にして買い替えるであろうことが確実ならば、何も厚く補償を掛ける必要はないのです。
そういった観点から、気になる部分はカバーしつつ、保険料を手ごろに押さえる補償が適切ですね。
まとめ
保険の見直しの第一歩は、『この補償ってなんのためにあるんだ?』と疑ってみることです。
これから自動車を購入して自動車保険の加入を検討される方は、3つの分野の視点からリスクを測って保険に加入することで、「こういう事故なら補償される」といった納得感を持って利用するようにしましょう。