自動車保険の『特約の重複』について

交通事故に関する業務を行っていると、『自動車保険の特約が重複している』状態で契約している方が結構いらっしゃいます。

しかも、事故が起こるまで気が付かないなんてことも。

 

特約が重複していると、保険料を余計に多く払うことになり損をしてしまいます。

そこで今回は、自動車保険のうち重複加入状態になりやすい特約を紹介します。

ご自身の補償内容を改めて確認し、保険料を払いすぎていないか確認しましょう。

 

自動車保険の特約とは

廃車 特約

まず、「そもそも自動車保険の特約とは何なのか?」を説明します。

自動車保険の特約とは、「基本の補償内容に追加して付帯することができる補償」のことを言います。

つまり、特約とは任意で上乗せする補償のことであり、不要と判断した方は加入しないこともできます。

 

特約の種類はいくつかありますが、有名なものは、

◆個人賠償責任特約

◆弁護士費用特約

◆マイバイク特約(原動機付自転車特約)

などがあります。

 

特約の重複ってどんな状態?

ディーラーなどで自動車を購入した場合、あまり詳しく補償内容を考えず、ディーラー担当者に勧められるまま加入したという方もいらっしゃると思います。

そういった方は、実は既に補償をしている範囲に、二重で保険を掛けてしまっているかもしれません。これが、『特約の重複』という状態です。

 

『特約の重複』状態になると、補償される金額の上限は増えないにも関わらず、保険料だけ2倍支払っているということになります。

こうなってしまうと、保険を小まめに見直す人は少ないですから、いざ交通事故を起こすその時まで判明しない……ということも。

 

保険料を払いすぎないためにも、特約が重複していないかを確認することは非常に重要です。

重複しやすい自動車保険の特約って?

先ほど有名な自動車保険の特約をいくつか列挙しましたが、その中に最も重複しやすい特約が……。

 

実は、個人賠償責任特約が自動車保険の特約の中でも重複しやすいと、保険に携わる業界の中では言われています。

個人賠償責任特約とは、被保険者またはその家族が民法上の損害賠償責任を負った際に、その賠償金額を補償するというものです。

 

具体的な支払い場面としては、

◆息子が友人宅の花瓶を割ってしまった

◆飼い犬が散歩中に歩行者に噛みついてケガをさせてしまった

◆自転車を運転中にわき道から出てきたおばあさんにぶつかってしまった

といった事例が挙げられます。

 

この個人賠償責任特約、実は自動車保険だけでなく、火災保険などでも特約として取り扱われている場合が多いです。

そのため、「自動車を購入した時には既に火災保険に特約として個人賠償責任の補償をしていたのに、気が付かずに自動車保険の特約にも加入していた……」

というケースが多いのです。

特約が重複しているかの確認方法

個人賠償責任特約は、被保険者だけでなく同一生計の家族も補償される場合がほとんどです。(詳細は各社の契約規定を確認)

ですから、契約者とご家族が加入している「自動車保険の保険証券」や「火災保険の保険証券」を確認し、『個人賠償責任特約 有・無 』といった記述がないかを確かめましょう。

 

もし記載がなく、保険証券から読み取れない時は、速やかに各社のコールセンターや窓口に問い合わせ、「私の契約に個人賠償責任特約は付与されていますか?」と尋ねましょう。

 

重複していた期間の保険料は返金されるか

重複していた期間の保険料が返金されるかは、各社の判断次第です。

もちろん、「加入時に火災保険の方で加入していると伝えたにも関わらず、特約を付けられていた!」などの事情がある場合は、必ず申告しましょう。

 

保険会社側に何らかの落ち度があれば返金される可能性がありますが、そう思い通りにいかないのが金融の世界。

あまり期待せず、かといって泣き寝入りしないで自分の主張は伝えましょう。

 

まとめ

今回は自動車保険の『特約の重複』について解説しました。

特約が重複していると必要以上に保険料を払ってしまうことになるので、絶対に避けたいところ。

補償内容を把握し、無駄なコストが掛かっていないか確かめましょう。