意外に多い相談 「自動車保険に弁護士特約は必要?」

春に向けて三寒四温が続きますね。
 
さて、今回は自動車保険の弁護士特約の必要性について解説していきたいと思います。
 
自動車保険に関わる仕事をしていて、意外にも相談件数が多いのが、この弁護士特約です。それも、相談といっても、「弁護士や保険会社とトラブルになった!」という相談ではなく、「特約は付けておいた方がいいのでしょうか?」という相談がほとんどです。
 
話していて気が付いたのが、弁護士特約は多くの人が分かっているようでよく分かっていないということでした。
 
おそらく、「弁護士特約は必要!」と考えている方でも、その理由を自分の言葉で説明するのは難しいと思います。
 
そんな訳で、今回はそういった現状を踏まえて、「弁護士費用特約の必要性」について説明をしていきたいと思います。
 
今回の記事を読んで弁護士特約について理解し、 ご自身の自動車保険に特約をつけるかどうかを改めて考えましょう。
 

そもそも弁護士特約って?

弁護士特約とは

 
はじめに、そもそも自動車保険の弁護士特約とは何かを説明してきます。
 
弁護士特約とは、自動車事故が示談で解決せず、民事裁判に発展した時に弁護士報酬を保険会社が補償する制度です。

また、民事裁判に発展しなかったとしても、自分の過失がなく、相手から賠償を受けるだけの時は、弁護士に債務を回収してもらわなければなりません。

 

そういった場合の費用も、弁護士特約があれば補償してくれます。

 

この制度がある理由は当然、弁護士を雇うと高額な弁護士報酬を実費で負担することになるからです。


そうならないように、自動車保険には弁護士特約をつけることができるようになっていいるんですね。

 

弁護士特約が役に立つ事例

 
弁護士費用特約が実際に役に立つ簡単な事例には、次のようなものが挙げられます。
 

事例1:無過失事故のケース

駐車場に車を停めて車内で休んでいたところ、車道から勢いよく左折して駐車場に入ってきた相手方の車にぶつかられた。

 

このような事例の場合、自分の車が適切に駐車をしていて、エンジンを切っていれば自己の過失はありません。

 

そして、自己が無過失の場合は、相手方が賠償するのみになります。このようなケースでは、事故の保険会社は債務の回収をすることができませんので、弁護士に依頼しなければいけないんですね。

 

事例2:友人が自分の車で事故を起こし民事裁判になった場合

 Aさんは自分の自動車に自動車保険を掛けており、弁護士特約を付帯していた。Aさんの友人である Bさんは、旅行に行く際に Aさんを助手席に乗せて、車を運転した。

旅行の道中、対向車とぶつかってしまい、双方の主張が対立し裁判に至ることとなった。

 

このような事例の場合、自動車保険に加入している Aさんが運転していなければ弁護士特約では補償がされないと思われがちです。

しかし、ほとんどの保険会社の弁護士特約では、加入している人が認めた人物が運転していた場合、契約者と同様に弁護士特約で費用を補償してくれます。

 

どちらの事例も、弁護士特約を付帯していなければ、自己負担で弁護士を雇うことになってしまいます。こういった事例から見ても、弁護士特約を付けることは重要だと言えますね。

 

これらの事例のような場面を想定したうえで、弁護士特約を付けるかどうかを判断しましょう。

 

まとめ

 
今回は自動車保険の弁護士費用の特約について解説しました。
 
結果として、民事裁判になってしまった場合や、債務の回収をする際の弁護士費用を補償するという場面で特約は役に立つと言うことが分かりました。
 
また、自分に非がない無過失事故の場合にも弁護士が必要になるということはあまり知られていませんので、覚えておきたいですね。
 
皆さんも自動車保険の加入を検討される際には、弁護士費用特約についてじっくり検討してみてください。

profile

この記事では、jazz_jikoのプロフィールを紹介しようと思います。

皆さん、共通の趣味があれば気軽にコメントくださいね。

ぜひ、ゆるりとお話ししましょう。

 

jazz_jikoのprofile……

サックス

 

【どんな人】

休日にはジャズを聞いてばかりの既婚40代男。顔は阿部寛を若くした感じ…と言われたり言われなかったり。

交通事故・自動車保険に関わる職場に勤めているが、FP(ファイナンシャルプランナー)として個人でも仕事を請けている。

家に居るのも好きだけど、出掛けた先でジャズを聴きながら本を読む……なんてことも大好き。ゆくゆくはのんびり田舎風景を見ながらサックスを始めたい。

人付き合いが好きで、ついつい話し過ぎてしまうことも。

 

【好きなもの】

・ジャズ全般

・猫

・読書

・スポーツ観戦

・旅行

・少しのお酒と美味しい料理

 

【苦手なもの】

・早起き

・小まめな掃除

・長距離フライト

 

【興味のあるジャンル】

・金融分野

特に保険関係。もともと保険に無頓着だったせいで勧められるままに加入していたところ、あるファイナンシャルプランナーの方に「異常ですよ」と言われて目が覚める。

どうせなら自分できちんと判断できるようにと、FP2級を取得。その後、日本FP協会公認のAFPも取得。今では自分で保障相談の仕事を請けるようになった。

・読書

何でも読むけど、日本のミステリーが多い。本の中身も良いけど、何よりジャズと一緒に楽しめるという趣味だから好き。

カフェ巡り、読書、ジャズは、違う分野なのに同時に味わえる最高の趣味だと思っている。そう、思いません?

 

【これまで旅行した中でおすすめの場所】

・イタリア

特にヴェネツィア。暗くなってからの街並みも信じられないくらい綺麗。水路に反射する家々の光を船が横切っていく美しさには、言葉を失う。いつかは住みたい。

・鶴の湯(秋田県)

真冬は雪に埋め尽くされる秘湯。なんと、電波が届かない!日頃のインターネット生活から離れ、人と話す時間がぐっと増えると、昔ながらのゆったりとした時間を感じられる。温泉もさることながら、山の幸が最高に美味。

・種子島(鹿児島県)

鹿児島県のすぐ南、屋久島と並んで東側にある離島。鹿児島から30人ほどしか乗れないプロペラ機で上陸すると、「離島に来た!」と思えるヤシの木。南端には「世界で最も美しいロケット発射場」と呼ばれる『種子島宇宙センター』が。

田舎の美しい青空を真っすぐに切り裂いて飛んでいくロケットは、一生に一度は見て欲しい。

 

こんな私ですが、どうかよろしくお願いします

自動車保険の基礎知識 保険ってなんで必要?

職業柄、色々な方と保険についてお話しさせていただく機会があるのですが、先日お会いした方が、「車を買ったんだけど自動車保険って入らなきゃいけないんですかね」という相談してくれました。

自動車を所有している人なら、「当たり前でしょ」と思うかもしれません。しかし、実はこの疑問は非常に大事なんです。

 

保険は、「あるリスクに備える」という目的で利用するものです。

例)火事になったら家を建て直すお金がないというリスクに備え火災保険に入る。

 

では、自動車保険は一体なぜ加入するのでしょうか。どんなリスクに備えるための保険なのでしょうか。

そういった当たり前の基礎知識を習得することから、適切な保険加入というものは実現します。

そこで、今回はこれから自動車を購入する方へ向けて、自動車保険の補償制度の大枠を解説していきたいと思います。

既に自動車を所有している方、自動車保険に詳しい方には簡単すぎる内容になってしまいますが、基本的な『自動車保険の重要性』を知らない方には是非読んで欲しい内容です。

 

自動車保険はなぜ必要か

自動車保険 必要性

さて、皆さんは「自動車保険はなぜ必要か?」を考えたことがあるでしょうか。

多くの人は自動車の購入と同時になんとなく保険会社の自動車保険に加入していると思います。しかし、それらは何のために高い保険料を払って加入しているのでしょうか。

答えはもちろん、「交通事故を起こした時のリスクに備えるため」が正解です。

 

自動車保険の補償制度は、ほとんどの保険会社で次の3つに分けられています。

  1. 自分自身・搭乗者の補償
  2. 相手方への補償
  3. 自身の車両補償

これから自動車保険の加入を検討される方は、この3つの視点から補償が充分かどうかを材料に保険を選んでいくことになります。

あえて言えば、「そのくらいのリスクなら保険を掛けなくていい」 という分野がある場合は、必ずしも補償を全てに厚くしなくても良いのです。

 

それでは、上記の3つの分野を解説していきましょう。

 

1.自分自身・搭乗者の補償

この分野は、交通事故を起こした時の、自分・搭乗者(一緒に自動車に乗っている人)の身体や生命の補償のことを指します。

例)ハンドル操作を誤って電柱に衝突し、助手席の友人が骨折をしてしまった

この補償は、交通事故を起こした時に自分だけでなく一緒に同乗している人のケガや生命を補償するので、非常に重要です。

 

交通事故を起こすとケガでは済まず、最悪の場合だと命を失ってしまうこともあります。

そういったリスクをほとんどの人は大きく捉え、この補償が充実した自動車保険を選んでいるのです。

2.相手方への補償

この分野は、いわゆる「対人賠償・対物賠償」といった賠償金額を補償する分野です。

例)わき見運転をしている時に歩行者にぶつかり、相手が全治3か月の入院となった

任意の自動車保険をあまり重要視していない人でも、この部分にだけは補償を充分に掛けていることがほとんどです。

 

対人賠償・対物賠償とは、交通事故を起こして相手方をケガさせてしまったり、相手の自動車を傷付けてしまった時に発生する責任のことです。

例で挙げたように交通事故で相手方を傷付けてしまうと、場合によってはとんでもない金額の賠償をしなければなりません。

ましてや命を奪ってしまった場合、判例では1億円以上の賠償金を請求されるなんてことも……。

そう考えると、どれだけ保険を重要視していない人でも、この部分だけはしっかりと補償を掛けておくことが重要です。

3.自身の車両補償

これは、自分の自動車が傷付いた時に備える補償です。

例)スーパーの駐車場に駐車しようとしたら、看板にぶつかってバンパーが破損した。

自分ひとりの事故で自身の自動車を破損した場合でも、破損した個所は修理する必要がありますね。

自動車のパーツや修理代は高額になるケースも多く、不測の事態に備えて保険に入る人が多い現状です。

 

しかし、譲渡された中古の自動車を利用している人で、乗りつぶしてしまっても良いと思っている人の場合はどうでしょう。

確実に廃車にして買い替えるであろうことが確実ならば、何も厚く補償を掛ける必要はないのです。

そういった観点から、気になる部分はカバーしつつ、保険料を手ごろに押さえる補償が適切ですね。

まとめ

保険の見直しの第一歩は、『この補償ってなんのためにあるんだ?』と疑ってみることです。

これから自動車を購入して自動車保険の加入を検討される方は、3つの分野の視点からリスクを測って保険に加入することで、「こういう事故なら補償される」といった納得感を持って利用するようにしましょう。

 

自動車保険の『特約の重複』について

交通事故に関する業務を行っていると、『自動車保険の特約が重複している』状態で契約している方が結構いらっしゃいます。

しかも、事故が起こるまで気が付かないなんてことも。

 

特約が重複していると、保険料を余計に多く払うことになり損をしてしまいます。

そこで今回は、自動車保険のうち重複加入状態になりやすい特約を紹介します。

ご自身の補償内容を改めて確認し、保険料を払いすぎていないか確認しましょう。

 

自動車保険の特約とは

廃車 特約

まず、「そもそも自動車保険の特約とは何なのか?」を説明します。

自動車保険の特約とは、「基本の補償内容に追加して付帯することができる補償」のことを言います。

つまり、特約とは任意で上乗せする補償のことであり、不要と判断した方は加入しないこともできます。

 

特約の種類はいくつかありますが、有名なものは、

◆個人賠償責任特約

◆弁護士費用特約

◆マイバイク特約(原動機付自転車特約)

などがあります。

 

特約の重複ってどんな状態?

ディーラーなどで自動車を購入した場合、あまり詳しく補償内容を考えず、ディーラー担当者に勧められるまま加入したという方もいらっしゃると思います。

そういった方は、実は既に補償をしている範囲に、二重で保険を掛けてしまっているかもしれません。これが、『特約の重複』という状態です。

 

『特約の重複』状態になると、補償される金額の上限は増えないにも関わらず、保険料だけ2倍支払っているということになります。

こうなってしまうと、保険を小まめに見直す人は少ないですから、いざ交通事故を起こすその時まで判明しない……ということも。

 

保険料を払いすぎないためにも、特約が重複していないかを確認することは非常に重要です。

重複しやすい自動車保険の特約って?

先ほど有名な自動車保険の特約をいくつか列挙しましたが、その中に最も重複しやすい特約が……。

 

実は、個人賠償責任特約が自動車保険の特約の中でも重複しやすいと、保険に携わる業界の中では言われています。

個人賠償責任特約とは、被保険者またはその家族が民法上の損害賠償責任を負った際に、その賠償金額を補償するというものです。

 

具体的な支払い場面としては、

◆息子が友人宅の花瓶を割ってしまった

◆飼い犬が散歩中に歩行者に噛みついてケガをさせてしまった

◆自転車を運転中にわき道から出てきたおばあさんにぶつかってしまった

といった事例が挙げられます。

 

この個人賠償責任特約、実は自動車保険だけでなく、火災保険などでも特約として取り扱われている場合が多いです。

そのため、「自動車を購入した時には既に火災保険に特約として個人賠償責任の補償をしていたのに、気が付かずに自動車保険の特約にも加入していた……」

というケースが多いのです。

特約が重複しているかの確認方法

個人賠償責任特約は、被保険者だけでなく同一生計の家族も補償される場合がほとんどです。(詳細は各社の契約規定を確認)

ですから、契約者とご家族が加入している「自動車保険の保険証券」や「火災保険の保険証券」を確認し、『個人賠償責任特約 有・無 』といった記述がないかを確かめましょう。

 

もし記載がなく、保険証券から読み取れない時は、速やかに各社のコールセンターや窓口に問い合わせ、「私の契約に個人賠償責任特約は付与されていますか?」と尋ねましょう。

 

重複していた期間の保険料は返金されるか

重複していた期間の保険料が返金されるかは、各社の判断次第です。

もちろん、「加入時に火災保険の方で加入していると伝えたにも関わらず、特約を付けられていた!」などの事情がある場合は、必ず申告しましょう。

 

保険会社側に何らかの落ち度があれば返金される可能性がありますが、そう思い通りにいかないのが金融の世界。

あまり期待せず、かといって泣き寝入りしないで自分の主張は伝えましょう。

 

まとめ

今回は自動車保険の『特約の重複』について解説しました。

特約が重複していると必要以上に保険料を払ってしまうことになるので、絶対に避けたいところ。

補償内容を把握し、無駄なコストが掛かっていないか確かめましょう。