人身傷害保険を利用する場合の注意点(2021年9月現在)

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前の記事で、人身傷害保険の使い方についてご説明しました。

人身傷害保険ってとても役に立つものだなー、ということがお分かりいただけたと思います。

ただ、最近、人身傷害保険に関する注目の裁判例が現れ、当面の間、人身傷害保険の使い方に注意が必要と思われます。

今日は、人身傷害保険を利用する際の注意点を簡単にご説明します。

 

人身傷害保険が支払われるまでの流れ

たとえば、次のようなケースを考えてみます。

  • 私が、交通事故に遭って、むちうちになった。
  • 私の過失が大きかったため、相手方保険会社から「一括」を拒否された。
  • 加入していた人身傷害保険を使って、人身傷害保険会社から治療費の支払を受けながら通院をした。
  • 治療がひと段落した後、自賠責に後遺障害申請をしたところ、14級の後遺障害の認定を受けた。

 

この場合、人身傷害保険会社に対しては、2パターンで保険金を請求できます。

 

パターン1先に、事故の相手方に対して賠償金の請求をし、相手方から賠償金を受けられなかった部分について人身傷害保険会社に保険金の請求をする。

 

パターン2先に、人身傷害保険会社に対して保険金の請求をし、人身傷害保険会社からの保険金では足りない部分について相手方に請求をする。

 

理論的には、どちらも取れる賠償額は変わらないはずです。

 

ただし、パターン2の場合、人身傷害保険会社から「人身傷害保険金を受け取った場合には、自賠責保険金の請求権が人身傷害保険会社に移転し、自らは請求しないことを確認します」といった内容の確認書面にサインを求められることが通常です。

 

ところが、この確認書面の取り扱いに注意が必要なのです。

 

人身傷害保険会社と書面を取り交わすときの注意点

一般の方にとって、「自賠責保険金の請求権が移転するって何のこと?まあ、いいか」と思うことが通常です。

そして、これまでは、それで十分でした。

 

しかし、2020年3月、福岡高裁の裁判例が出ました。

この裁判例を説明するのは大変なので割愛しますが、要するに、人身傷害保険会社と取り交わした確認書面の内容によっては、自分が受け取ることができる賠償額が減ってしまうかもしれない!というものなのです。

 

この裁判例の妥当性については、最高裁で決着が着くだろうと思いますが、少なくとも現時点では、人身傷害保険会社と書面を取り交わす際には十分注意が必要です。

 

そのため、人身傷害保険会社から書面の取り交わしを求められた際には、必ず、弁護士等の専門家に相談することをオススメ致します。

 

いかがだったでしょうか。

今後、最高裁で結論が変わるかもしれませんが、当面の間は、人身傷害保険会社との書面の取り交わしには十分注意していただければと思います。

 

以上