あなたの原付も?「自賠責保険の重複」

 
今回は「自動車損害賠償責任保険」通称、自賠責保険の重複についてご紹介します。
 
自賠責保険は強制保険であり、加入しなければ運転してはいけないことが定められています。
 
これは被害者救済の側面を持った制度であり、任意の自動車保険に入らなかったとしても、被害に遭ってしまった方への賠償金を最低限補償しようとするものです
 
その自賠責保険が重複加入してしまった場合はどうなってしまうのでしょうか。
 
今回はそういった自賠責保険の重複について解説します。

 

自賠責保険は重複加入できてしまう 

自賠責保険 重複加入

自賠責保険は各損保会社が、自賠責共済は各共済団体が取り扱っています。
 
しかし、既存の自賠責保険が有効期間にあるにも関わらず他の自賠責保険に申し込んでしまった場合、なんと二重に加入ができてしまいます。

このため、自賠責保険は重複加入が起こりやすい保険と言えます。

 

また、重複加入しておけば補償が2倍になるのかと言えば、そうではありません。

 

自賠責保険は被害者救済のための制度ですから、先に加入していた1契約のみが有効となります。

 

こうした理由から、自分が自賠責保険にちゃんと加入しているかどうかは確かめておかなければいけないのです。

 

原付はさらに重複しやすい!

それでも、四輪自動車の場合はそこまで重複加入は多発しませんが、原付では非常によく発生しています。


原付は個人間で譲渡したり、小さな町のバイク屋さんが売買したりしていることも多くあります。

 

そういった販売方法では、自賠責保険に加入しているかどうかを、きちんと購入者側に伝えないまま売却している場合があるんです。


購入者側は、すでに自賠責保険に入っているかどうかを伝えられなければ、知る方法もありません。

 

当然、自賠責保険に入らなければいけないことだけは知っていますので、新規に自賠責保険を契約してしまいます。

 

このようなパターンで、原付は自賠責保険の重複が頻繁に発生しています。


かくいう筆者も、大学時代に友人から譲り受けた原付を運転する前に、自賠責保険に加入しておかなければと思い急いで手続きをしたところ、重複加入であることが後から判明しました。


保険料は保険会社ごとに大きく変わるようなことはありませんが、1年間で約2~3万を多く支払ってしまうのはかなりの痛手です。


期間を過ぎていない分については保険料の返金をしてくれますが、それでも払い過ぎはもったいないということは間違いないでしょう。

 

重複加入に気が付いたらどうすればよいか

自賠責保険の重複に気が付いたら、速やかに保険会社へ連絡しましょう。 自賠責保険は強制保険のため、解約がしにくくなっています。
 
例えば、保険代理店などでは解約はできず、引き受け元である保険会社の営業店に解約したい旨を伝えなければいけません。

 

この時、事前に電話をして必要な書類を指示してもらうことをお勧めします。自賠責保険の証明書等が必要になると思いますので予め準備をしてから営業店へ行きましょう 。

 
また、保険料の返金については営業店から説明があると思いますが、営業店の方からなかなか説明がない場合は「保険料を返金して欲しいのですが」ときちんと自分から伝えるようにしましょう。
 

まとめ

今回の記事では、自賠責保険の重複について説明しました。

自賠責保険は、強制保険のため加入が漏れるということはあまりありませんが、ここまで説明してきたような重複加入が発生しやすい保険であると言えます。

 

また、どんな自動車でも起こりうることですが、特に起こりやすいのは原付ですね。

  

年間、約2~3万円の保険料を多く支払うことはもったいないので、皆様もお持ちの自動車や原付が重複加入状態にないか今一度確認をしてみることをお勧めします。

 

 

覚えておきたい「交通事故発生後の手続き」

 
本業の方では、よく自動車保険に関する苦情の話を聞いたり、対応のアドバイスを求められるのですが、ちょうど少し前に交通事故の手続きに関しての苦情の話を聞きました。
 
どうやら、自動車保険の加入内容は合っていたものの、交通事故が発生した後の手続きが充分に説明されていなかったために、随分とお客さんと揉めたようです。
 

詳しく話を聞くと、「自動車が動かなくなったのでレッカー車を呼んだところ、そのレッカー車を呼んだ費用が補償されない」というものでした。

 

どうやら、自動車が動かなくなってすぐに保険会社に事故の報告をせず、「まずは車道から車を移動しなければ!」と思い急いでレッカー車を呼んだとのこと。

 

この事例気持ちは分かりますが、損害保険会社にレッカー車の費用を補償してもらうためには、まず事故報告をしないといけない場合が多いのです。

 

こういった、「事故が発生した後の手続き」というのは、意外にもきちんと考えたことが無い方が多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、このレッカー車の事例のように「交通事故が発生した後のやるべき手続き」について解説していきたいと思います。

 

手続きの流れ

手続きの流れ

交通事故発生後の全体的な手続きの流れは次の通りです。

 

事故発生 ⇒ 負傷者救護 ⇒ 警察へ電話 ⇒ 損保会社への事故報告 ⇒ 相手方と連絡先交換
 

負傷者救護

交通事故を起こしてしまうとパニックになってしまい、何から手をつけていいかがわからなくなってしまうかもしれません。
 
しかし、どんな時でも負傷した人の救護が最優先です。自分の体が痛む場合は救急車を呼ぶ必要がありますし、相手方が負傷していた場合は助けてあげましょう。
  

警察へ電話

どんな些細な事故でも、警察へ必ず連絡をしてください。
 
例えば、自宅の駐車場に駐車しようとして車の側面をぶつけてしまったとしても、警察への連絡は必要です。
 
自宅の駐車場でぶつけてしまった場合、他の相手に迷惑をかけていないと言うこともあり、警察への届け出はしなくて良いと思われがちです。
 
しかしこれは間違いで、自宅の駐車場や相手のいない自損事故を起こしてしまった場合も、警察へ届け出る必要があります。
 
これは警察に事故が発生したことを証明する「事故発生報告書」と言う証明書類を作成してもらう必要があるからです。
 
また、人身事故の場合は「実況見分書」を作成してもらいます。
 
人身事故で損害賠償を計算するにあたって、この「実況見分書」が非常に重要な根拠となってきます。もし自分が被害者で怪我をしていた場合は、特に客観的な証拠として必ず必要になりますので、警察に通報した上で書類の作成をしてもらうように依頼しましょう 。 
 
 
また、自損事故だからといって警察へ届け出ないと保険金を請求するときに虚偽の請求だと思われてしまう可能性があります
 
速やかな保険金の支払いを受けるためにも警察へは必ず届け出ましょう。
 

損保会社への事故報告

各損保会社には、24時間365日応対の『交通事故受付センター』のようなコールセンターが備え付けられています。あらかじめ携帯電話の電話帳に登録しておくようにしましょう。
 
そこへ電話し、事故の状況や負傷者の有無などをオペレーターに伝えます。伝えきれない事があっても、オペレーターが必要な情報は質問してくれるので、聞かれた内容には包み隠さず本当のことを話しましょう。
 
また、この時に事故の相手方へ確認しておくことや聞いてほしいこと等を指示される可能性があります。その時は、相手方へ内容をきちんと確認し、保険会社の担当者へ連携をしましょう。

相手方と連絡先交換

最後に、事故の相手方の電話番号や住所といった内容を交換しておきましょう。この場面で情報を隠していては事故対応が進みません。
 
何にしろ示談交渉が始まれば、連絡を取るために損保会社が必ず確認をするのですから、スムーズな対応のためにもこの場面で連絡先は確認しておきましょう。
 
ま、た損保会社へ事故受付をした時に相手方へ聞くように指示されたことがあれば、この時に確認します。
 

まとめ

交通事故は発生した後の対応を知る機会が少ないので、パニックになりがちです。
 
今回ご紹介したような流れを頭に入れておき、必ず警察への連絡と保険会社への事故報告は欠かさないようにしましょう。

やっぱり不安?「交通事故の示談交渉」

 
さて、今回は交通事故の示談交渉の流れについて解説していきたいと思います。
 
交通事故を起こしてしまった後の対応が難しい・怖いと考えている人の多くは、この示談交渉をイメージしているのではないでしょうか。
 
ただでさえ事故でピリピリしている雰囲気の中、相手方とどちらが悪いのかと言う事について話し合うのは、想像するだけでも緊張感がありますね。
 
今回は、そういった漠然と不安なイメージがつきまとう「交通事故の示談交渉」について全体的な流れを解説していきます。
 
この記事を読んで交通事故の示談交渉への理解を深め、不安を払拭しておきましょう。 
 

そもそも示談って何?

示談とは

 
さて、そもそも「示談」ってなんでしょうか。
 

Weblio辞書によると……

①争いを止めて話し合うこと 

②民事上の紛争に関し、裁判によらずに当事者間に成立した和解契約 

 
とあります。
 
つまり、交通事故の示談とは、 
『事故の内容を裁判で解決するのではなく、当事者間の話し合いで解決すること』
を意味しています。
 
小さい事故でいちいち裁判を起こしてしまっていては、解決までに時間もお金も掛かります。そうならないように、保険会社の担当者は、示談で解決しようとするんですね。
 

示談交渉の流れ

示談交渉の大まかな流れは次の通りです。
 
事故発生 ⇒ 治療 ⇒ 後遺障害等級認定 ⇒ 示談開始 ⇒ 示談成立
 
あえて大まかに示すと、上記のような流れが事故の発生から示談の成立までとなります。
 
さて、ここで気を付けておきたいポイントは、『示談交渉は自分ではなく、損保会社の担当者が行う』という点です。
 
示談交渉は事故の当事者がするのではなく、あくまで専門的な知識と交渉術を持った損害保険会社の担当者が行うんですね。
 
「示談交渉は難しい・怖い・不安」と思っている方は安心してください。交渉は全て損保会社にお任せでいいのです。
 
もちろん、交渉をスムーズにするために、担当者への事故当時の情報などは、正直に話しましょう。
 
自分の側に付いてくれた担当者は味方です。よく勘違いされるのですが、「俺は悪くない!向こうが勝手にぶつかってきた!」と真実を隠して自分の担当者を困らせることは、かえって示談交渉に不利になります。

 

包み隠さず正直に情報を提供し、後は担当者の腕を信頼しましょう。

 

事故発生から示談交渉までで気をつけなければいけないこと

示談交渉をするまでで最も気を付けないといけないことは、不用意な発言です。
 
例えば「すみません。私が前方不注意でした」と事故直後に相手方に言った時に、事故の相手方はその会話を録音しているかもしれません。
 
そうなってしまうと、せっかく損害保険会社の担当者が過失割合の交渉を頑張ってくれたとしても、録音した発言を証拠として出され、結果として自分の過失が多く決まってしまう可能性があります。
 
事故の直後から決して事故状況の話はせず、「大丈夫ですか。お怪我はないですか。」と相手の身体の無事を確かめるだけにしましょう。
 
事故状況や過失の話を振られたら、「全て保険会社の担当者から連絡させます」と強く言いきり、不用意に発言しないようにしましょう。
 
交渉ごとでは、「言った・言わない」という内容で事実が問われる可能性があります。一つ一つの発言が後になって不利な証拠になってしまう可能性があるので、事故直後は特に気をつけましょう。
  

まとめ

今回は交通事故の示談交渉の流れと気をつけるべきポイントについて説明しました。
  
示談交渉はトラブルになりやすいので、専門の損害保険会社の担当者に任せ、決して自分で対応しようと思わないようにしてください。
 
ただ、事故直後で最も大切なのは自分と相手の身体の無事を確かめることです。交渉事とは切り離して、まずは命に別状ないかを必ず確かめるようにしましょう。

意外に多い相談 「自動車保険に弁護士特約は必要?」

春に向けて三寒四温が続きますね。
 
さて、今回は自動車保険の弁護士特約の必要性について解説していきたいと思います。
 
自動車保険に関わる仕事をしていて、意外にも相談件数が多いのが、この弁護士特約です。それも、相談といっても、「弁護士や保険会社とトラブルになった!」という相談ではなく、「特約は付けておいた方がいいのでしょうか?」という相談がほとんどです。
 
話していて気が付いたのが、弁護士特約は多くの人が分かっているようでよく分かっていないということでした。
 
おそらく、「弁護士特約は必要!」と考えている方でも、その理由を自分の言葉で説明するのは難しいと思います。
 
そんな訳で、今回はそういった現状を踏まえて、「弁護士費用特約の必要性」について説明をしていきたいと思います。
 
今回の記事を読んで弁護士特約について理解し、 ご自身の自動車保険に特約をつけるかどうかを改めて考えましょう。
 

そもそも弁護士特約って?

弁護士特約とは

 
はじめに、そもそも自動車保険の弁護士特約とは何かを説明してきます。
 
弁護士特約とは、自動車事故が示談で解決せず、民事裁判に発展した時に弁護士報酬を保険会社が補償する制度です。

また、民事裁判に発展しなかったとしても、自分の過失がなく、相手から賠償を受けるだけの時は、弁護士に債務を回収してもらわなければなりません。

 

そういった場合の費用も、弁護士特約があれば補償してくれます。

 

この制度がある理由は当然、弁護士を雇うと高額な弁護士報酬を実費で負担することになるからです。


そうならないように、自動車保険には弁護士特約をつけることができるようになっていいるんですね。

 

弁護士特約が役に立つ事例

 
弁護士費用特約が実際に役に立つ簡単な事例には、次のようなものが挙げられます。
 

事例1:無過失事故のケース

駐車場に車を停めて車内で休んでいたところ、車道から勢いよく左折して駐車場に入ってきた相手方の車にぶつかられた。

 

このような事例の場合、自分の車が適切に駐車をしていて、エンジンを切っていれば自己の過失はありません。

 

そして、自己が無過失の場合は、相手方が賠償するのみになります。このようなケースでは、事故の保険会社は債務の回収をすることができませんので、弁護士に依頼しなければいけないんですね。

 

事例2:友人が自分の車で事故を起こし民事裁判になった場合

 Aさんは自分の自動車に自動車保険を掛けており、弁護士特約を付帯していた。Aさんの友人である Bさんは、旅行に行く際に Aさんを助手席に乗せて、車を運転した。

旅行の道中、対向車とぶつかってしまい、双方の主張が対立し裁判に至ることとなった。

 

このような事例の場合、自動車保険に加入している Aさんが運転していなければ弁護士特約では補償がされないと思われがちです。

しかし、ほとんどの保険会社の弁護士特約では、加入している人が認めた人物が運転していた場合、契約者と同様に弁護士特約で費用を補償してくれます。

 

どちらの事例も、弁護士特約を付帯していなければ、自己負担で弁護士を雇うことになってしまいます。こういった事例から見ても、弁護士特約を付けることは重要だと言えますね。

 

これらの事例のような場面を想定したうえで、弁護士特約を付けるかどうかを判断しましょう。

 

まとめ

 
今回は自動車保険の弁護士費用の特約について解説しました。
 
結果として、民事裁判になってしまった場合や、債務の回収をする際の弁護士費用を補償するという場面で特約は役に立つと言うことが分かりました。
 
また、自分に非がない無過失事故の場合にも弁護士が必要になるということはあまり知られていませんので、覚えておきたいですね。
 
皆さんも自動車保険の加入を検討される際には、弁護士費用特約についてじっくり検討してみてください。

profile

この記事では、jazz_jikoのプロフィールを紹介しようと思います。

皆さん、共通の趣味があれば気軽にコメントくださいね。

ぜひ、ゆるりとお話ししましょう。

 

jazz_jikoのprofile……

サックス

 

【どんな人】

休日にはジャズを聞いてばかりの既婚40代男。顔は阿部寛を若くした感じ…と言われたり言われなかったり。

交通事故・自動車保険に関わる職場に勤めているが、FP(ファイナンシャルプランナー)として個人でも仕事を請けている。

家に居るのも好きだけど、出掛けた先でジャズを聴きながら本を読む……なんてことも大好き。ゆくゆくはのんびり田舎風景を見ながらサックスを始めたい。

人付き合いが好きで、ついつい話し過ぎてしまうことも。

 

【好きなもの】

・ジャズ全般

・猫

・読書

・スポーツ観戦

・旅行

・少しのお酒と美味しい料理

 

【苦手なもの】

・早起き

・小まめな掃除

・長距離フライト

 

【興味のあるジャンル】

・金融分野

特に保険関係。もともと保険に無頓着だったせいで勧められるままに加入していたところ、あるファイナンシャルプランナーの方に「異常ですよ」と言われて目が覚める。

どうせなら自分できちんと判断できるようにと、FP2級を取得。その後、日本FP協会公認のAFPも取得。今では自分で保障相談の仕事を請けるようになった。

・読書

何でも読むけど、日本のミステリーが多い。本の中身も良いけど、何よりジャズと一緒に楽しめるという趣味だから好き。

カフェ巡り、読書、ジャズは、違う分野なのに同時に味わえる最高の趣味だと思っている。そう、思いません?

 

【これまで旅行した中でおすすめの場所】

・イタリア

特にヴェネツィア。暗くなってからの街並みも信じられないくらい綺麗。水路に反射する家々の光を船が横切っていく美しさには、言葉を失う。いつかは住みたい。

・鶴の湯(秋田県)

真冬は雪に埋め尽くされる秘湯。なんと、電波が届かない!日頃のインターネット生活から離れ、人と話す時間がぐっと増えると、昔ながらのゆったりとした時間を感じられる。温泉もさることながら、山の幸が最高に美味。

・種子島(鹿児島県)

鹿児島県のすぐ南、屋久島と並んで東側にある離島。鹿児島から30人ほどしか乗れないプロペラ機で上陸すると、「離島に来た!」と思えるヤシの木。南端には「世界で最も美しいロケット発射場」と呼ばれる『種子島宇宙センター』が。

田舎の美しい青空を真っすぐに切り裂いて飛んでいくロケットは、一生に一度は見て欲しい。

 

こんな私ですが、どうかよろしくお願いします

自動車保険の基礎知識 保険ってなんで必要?

職業柄、色々な方と保険についてお話しさせていただく機会があるのですが、先日お会いした方が、「車を買ったんだけど自動車保険って入らなきゃいけないんですかね」という相談してくれました。

自動車を所有している人なら、「当たり前でしょ」と思うかもしれません。しかし、実はこの疑問は非常に大事なんです。

 

保険は、「あるリスクに備える」という目的で利用するものです。

例)火事になったら家を建て直すお金がないというリスクに備え火災保険に入る。

 

では、自動車保険は一体なぜ加入するのでしょうか。どんなリスクに備えるための保険なのでしょうか。

そういった当たり前の基礎知識を習得することから、適切な保険加入というものは実現します。

そこで、今回はこれから自動車を購入する方へ向けて、自動車保険の補償制度の大枠を解説していきたいと思います。

既に自動車を所有している方、自動車保険に詳しい方には簡単すぎる内容になってしまいますが、基本的な『自動車保険の重要性』を知らない方には是非読んで欲しい内容です。

 

自動車保険はなぜ必要か

自動車保険 必要性

さて、皆さんは「自動車保険はなぜ必要か?」を考えたことがあるでしょうか。

多くの人は自動車の購入と同時になんとなく保険会社の自動車保険に加入していると思います。しかし、それらは何のために高い保険料を払って加入しているのでしょうか。

答えはもちろん、「交通事故を起こした時のリスクに備えるため」が正解です。

 

自動車保険の補償制度は、ほとんどの保険会社で次の3つに分けられています。

  1. 自分自身・搭乗者の補償
  2. 相手方への補償
  3. 自身の車両補償

これから自動車保険の加入を検討される方は、この3つの視点から補償が充分かどうかを材料に保険を選んでいくことになります。

あえて言えば、「そのくらいのリスクなら保険を掛けなくていい」 という分野がある場合は、必ずしも補償を全てに厚くしなくても良いのです。

 

それでは、上記の3つの分野を解説していきましょう。

 

1.自分自身・搭乗者の補償

この分野は、交通事故を起こした時の、自分・搭乗者(一緒に自動車に乗っている人)の身体や生命の補償のことを指します。

例)ハンドル操作を誤って電柱に衝突し、助手席の友人が骨折をしてしまった

この補償は、交通事故を起こした時に自分だけでなく一緒に同乗している人のケガや生命を補償するので、非常に重要です。

 

交通事故を起こすとケガでは済まず、最悪の場合だと命を失ってしまうこともあります。

そういったリスクをほとんどの人は大きく捉え、この補償が充実した自動車保険を選んでいるのです。

2.相手方への補償

この分野は、いわゆる「対人賠償・対物賠償」といった賠償金額を補償する分野です。

例)わき見運転をしている時に歩行者にぶつかり、相手が全治3か月の入院となった

任意の自動車保険をあまり重要視していない人でも、この部分にだけは補償を充分に掛けていることがほとんどです。

 

対人賠償・対物賠償とは、交通事故を起こして相手方をケガさせてしまったり、相手の自動車を傷付けてしまった時に発生する責任のことです。

例で挙げたように交通事故で相手方を傷付けてしまうと、場合によってはとんでもない金額の賠償をしなければなりません。

ましてや命を奪ってしまった場合、判例では1億円以上の賠償金を請求されるなんてことも……。

そう考えると、どれだけ保険を重要視していない人でも、この部分だけはしっかりと補償を掛けておくことが重要です。

3.自身の車両補償

これは、自分の自動車が傷付いた時に備える補償です。

例)スーパーの駐車場に駐車しようとしたら、看板にぶつかってバンパーが破損した。

自分ひとりの事故で自身の自動車を破損した場合でも、破損した個所は修理する必要がありますね。

自動車のパーツや修理代は高額になるケースも多く、不測の事態に備えて保険に入る人が多い現状です。

 

しかし、譲渡された中古の自動車を利用している人で、乗りつぶしてしまっても良いと思っている人の場合はどうでしょう。

確実に廃車にして買い替えるであろうことが確実ならば、何も厚く補償を掛ける必要はないのです。

そういった観点から、気になる部分はカバーしつつ、保険料を手ごろに押さえる補償が適切ですね。

まとめ

保険の見直しの第一歩は、『この補償ってなんのためにあるんだ?』と疑ってみることです。

これから自動車を購入して自動車保険の加入を検討される方は、3つの分野の視点からリスクを測って保険に加入することで、「こういう事故なら補償される」といった納得感を持って利用するようにしましょう。

 

自動車保険の『特約の重複』について

交通事故に関する業務を行っていると、『自動車保険の特約が重複している』状態で契約している方が結構いらっしゃいます。

しかも、事故が起こるまで気が付かないなんてことも。

 

特約が重複していると、保険料を余計に多く払うことになり損をしてしまいます。

そこで今回は、自動車保険のうち重複加入状態になりやすい特約を紹介します。

ご自身の補償内容を改めて確認し、保険料を払いすぎていないか確認しましょう。

 

自動車保険の特約とは

廃車 特約

まず、「そもそも自動車保険の特約とは何なのか?」を説明します。

自動車保険の特約とは、「基本の補償内容に追加して付帯することができる補償」のことを言います。

つまり、特約とは任意で上乗せする補償のことであり、不要と判断した方は加入しないこともできます。

 

特約の種類はいくつかありますが、有名なものは、

◆個人賠償責任特約

◆弁護士費用特約

◆マイバイク特約(原動機付自転車特約)

などがあります。

 

特約の重複ってどんな状態?

ディーラーなどで自動車を購入した場合、あまり詳しく補償内容を考えず、ディーラー担当者に勧められるまま加入したという方もいらっしゃると思います。

そういった方は、実は既に補償をしている範囲に、二重で保険を掛けてしまっているかもしれません。これが、『特約の重複』という状態です。

 

『特約の重複』状態になると、補償される金額の上限は増えないにも関わらず、保険料だけ2倍支払っているということになります。

こうなってしまうと、保険を小まめに見直す人は少ないですから、いざ交通事故を起こすその時まで判明しない……ということも。

 

保険料を払いすぎないためにも、特約が重複していないかを確認することは非常に重要です。

重複しやすい自動車保険の特約って?

先ほど有名な自動車保険の特約をいくつか列挙しましたが、その中に最も重複しやすい特約が……。

 

実は、個人賠償責任特約が自動車保険の特約の中でも重複しやすいと、保険に携わる業界の中では言われています。

個人賠償責任特約とは、被保険者またはその家族が民法上の損害賠償責任を負った際に、その賠償金額を補償するというものです。

 

具体的な支払い場面としては、

◆息子が友人宅の花瓶を割ってしまった

◆飼い犬が散歩中に歩行者に噛みついてケガをさせてしまった

◆自転車を運転中にわき道から出てきたおばあさんにぶつかってしまった

といった事例が挙げられます。

 

この個人賠償責任特約、実は自動車保険だけでなく、火災保険などでも特約として取り扱われている場合が多いです。

そのため、「自動車を購入した時には既に火災保険に特約として個人賠償責任の補償をしていたのに、気が付かずに自動車保険の特約にも加入していた……」

というケースが多いのです。

特約が重複しているかの確認方法

個人賠償責任特約は、被保険者だけでなく同一生計の家族も補償される場合がほとんどです。(詳細は各社の契約規定を確認)

ですから、契約者とご家族が加入している「自動車保険の保険証券」や「火災保険の保険証券」を確認し、『個人賠償責任特約 有・無 』といった記述がないかを確かめましょう。

 

もし記載がなく、保険証券から読み取れない時は、速やかに各社のコールセンターや窓口に問い合わせ、「私の契約に個人賠償責任特約は付与されていますか?」と尋ねましょう。

 

重複していた期間の保険料は返金されるか

重複していた期間の保険料が返金されるかは、各社の判断次第です。

もちろん、「加入時に火災保険の方で加入していると伝えたにも関わらず、特約を付けられていた!」などの事情がある場合は、必ず申告しましょう。

 

保険会社側に何らかの落ち度があれば返金される可能性がありますが、そう思い通りにいかないのが金融の世界。

あまり期待せず、かといって泣き寝入りしないで自分の主張は伝えましょう。

 

まとめ

今回は自動車保険の『特約の重複』について解説しました。

特約が重複していると必要以上に保険料を払ってしまうことになるので、絶対に避けたいところ。

補償内容を把握し、無駄なコストが掛かっていないか確かめましょう。